杉野晋平「ニューイヤーリスニング」- SUGINO Shimpei “New Year Listening”


このたびTOMO都市美術館では、杉野晋平による正月限定のサウンドパフォーマンス展「ニューイヤーリスニング」を開催します。これまで行為詩や自作楽器という独自の手法で新しい音を探求してきた晋平くん。特に「食」にまつわる音源を拡張することで、演奏にまで高める実践を繰り返してきました。前回TOMO美で演奏してくれたとき(2023年4月「ホームリスニング」)は、彼が10年来使用してきた冷蔵庫が音源でした。そのためプライベートな音に聞き耳をたてるような体験だったことを覚えています。そして今回は正月ということで、お餅をつくるときに出る音に傾注し、手を加え、即興演奏として聴かせてくれます!めちゃくちゃハッピーな演奏になるかもしれないし、厳かで儀式的な演奏になるかもしれません。当日の気温や湿度や人の数によっても音が微妙に変化するようで、晋平くんにすらどんな演奏になるのかわからない部分があるのです。休みなく演奏と食の提供を続ける晋平くんの姿を見て、聴いて、そして食べて、皆さまと一緒に新しい年を迎えられたらと思います。2024年初日、皆さまお忙しいとは存じますが、、お待ちしております!(トモトシ)

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作家ステートメント
私の2023年は変な年でした。嫌な出来事と良い出来事が波状で来る年であんまり記憶がないです。感情もアップダウンの幅が大きくて総合的に見て凪(なぎ)です。今の所気分は落ち込んではいないのでいい年だったと言えそうです。本を沢山読みました。図書館を使うことを覚えた影響が大きいように思います。いい年だった気がしてきましたが、無職ということを思い出すと結局プラマイ0(ゼロ)かもしれません。

そんなことより、2024年は初日からTOMO都市美術館でイベントをやることになったので幸先がいいような気がします。身体アンデパンダンの直後のホッカホカの会場で、1人餅つき大会です。例によって音も出します。美味しいお餅を拵えるのは意外と難しいです。当日までに美味しく作れるように練習します!音もね!

とにかく、いい年明けにしたいぜ!という気持ちです。

2023年はありがとうございました。2024年もよろしくお願いします。

杉野晋平

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TOMOTOSI Museum is pleased to present “New Year Listening,” a day-only sound performance exhibition by SUGINO Shimpei. This time, since it is New Year’s, he focuses on the sounds made when actually making mochi and plays an improvised performance. It could be a very happy performance, or it could be a solemn and ceremonial performance. Watch, listen, and eat as Shimpei continues to perform and serve food without a break. We hope to welcome the new year with you all.

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杉野晋平「ニューイヤーリスニング」開催概要
会期:2024年1月1日 (月) 15:00-22:00
会場:TOMO都市美術館(東京都杉並区西荻南2-9-12
入場料金:500円(1ドリンク付)
飲食:オリジナルドリンク・フードあり(有料)
グッズ販売:パイルドライバー映像入りSDカード木片

SUGINO Shimpei – “New Year Listening”
Date: January 1, 2024 (Monday) 15:00-22:00
Venue: TOMOTOSI Museum (2-9-12 Nishioginaminami, Suginami-ku, Tokyo)
Admission fee: 500 yen (with 1 drink)
Food & Beverage: Original drinks and food available
Goods for sale: SD card with Pile Driver video and a piece of wood

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グッズ(木片)について
・ 撮影データ3本をUSBまたはSDカードに収録して、使用したパイルドライバーの木材部分を切り分け溝を彫り、その溝にUSBまたはSDカードを格納してシュリンクフィルムで包んだもの(以下、木片とする)をグッズとして販売している。現在は個人での販売と高円寺・黒猫aka円盤(以下、円盤とする)で委託販売している。使用したパイルドライバーの処理と円盤にグッズを置けることになったことがきっかけで制作した物である。私が音楽をCDで聴くことが趣味ということも木片を作る要因になっている。最初に木片でUSBを使ったのは平間貴大氏から高解像度の無音と低解像度の無音のデータが収録されたUSB作品を購入したことが要因の一つである。この作品の良いところは内容を確認しなくてもその事実だけで素敵だなと思えるところである。自分が思いついた事にしたいくらい良い作品だなと思う。もう一つの要因は、世代に関わらずCDやDVDを再生する機械を持っている人が意外と少ないと知ったことである。それは音楽や映画のサブスクやYouTubeで視聴には事足りるということだと思う。私もよく利用している。それでもなお、ディスクを買いに行くことのある種儀式のような遊びが私にはやめられない。所有に至る工程が私を作品を視聴する状態に移行させる儀式のような気がするしお店に足を運んだりネットで購入したCDやDVDが手元に届くことが楽しいことだと思っている。そういった工程を経て鑑賞者にも作品を所有してもらいたいと思っている。使用したパイルドライバーを加工する事によってそれが新たに脈動するような事がグッズという形になり人の手に渡ることで起これば良いなと思っている。それで金銭が発生して私の手に残り私の新たな活力になることもやぶさかでは無い。

木片メディア無しバージョンについて
・ パイルドライバーのパフォーマンスで使用した木材という思い出があればグッズとして成り立つのではないかという考えからメディアの無いバージョンの木片も作った。メディア無しバージョンを購入して映像データが欲しい場合はデータをアップしているGoogle driveのリンクを渡すことにしている。これはメディアあり木片を販売した時も多々あった事で、シュリンクフィルムを剥がさずに映像が観たいという要望に応えるため処置だ。私はこれをいい事だと思っている。木片のプロダクトとしての良さが発生しているということだと思うからである。それでもなおメディア有りにこだわるのは、ネット環境がなくても再生できるという事がなんとなく大切なような気がするからだ。

杉野晋平

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TOMO都市美術館