ワンネス Vol.2 – 山川冬樹


広い世界には、オリジナルとしかいいようがない、独自のメソッドや思想を持つ表現者がたくさんいる。しかしそのメソッドや思想に直接触れる機会はとても限られている。そのため表現者の死後、作品制作のメソッドが不明であったりすることは多々ある。そのメソッドがオリジナルであればあるほど、そうなる運命だったりする。フジタの白しかり、古代のピラミッドしかり。この企画では、そういった表現者をお迎えする。どのようにしてオリジナルなメソッドを身につけ、どんな思想を持って制作に臨んでいるのか、その真髄に迫りたい。

今回ワンネスとしてお呼びするのは山川冬樹さん。加速する社会のなかで、なかなか聴こえてこない声や、見えてこない身体の存在を、パフォーマンスを通じて浮かび上がらせてきた。「命を賭した」という言い方が相応しいその壮絶なパフォーマンスは、一方で、美術/音楽/舞台芸術といった既存の枠組みをふわりと飛び超える軽やかさも併せ持っている。近年は、新しい展開として絵画にも挑戦されている。しかも「叫び」によって絵画を制作するという、これまた山川さんにしかできない方法で表現の領域を拡張された。つまるところ、山川さんは、私たちが考えるワンネスの概念にぴったりとハマる表現者なのだ。

多様を極める表現のなかで独自に開発された、消費を刺激するためではないワンネスの、ワンネスによる、ワンネスのためのメソッド。その話を聞き、願わくば、未来の伝承者とのマッチングが成立することを、私たちTOMO都市美術館は目論んでいる。

イベント前半は、インタビュー形式で、ゲストのこれまでの活動や唯一無二の美意識についてシェアしていただく。後半はもう少し打ち解けたかたちで、来場者と飲食しながらコミュニケーションをとれる時間を設ける予定。皆様の参加をお待ちしております。

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ワンネス Vol.2 『山川冬樹』
 – ゲスト:山川冬樹
 – 司会・進行:松田修、トモトシ
日時:2023年8月4日(金)19:00 – 21:00(開場18:30、終電まで滞在可)
会場:TOMO都市美術館(東京都杉並区西荻南2-9-12
料金:無料(飲食代別)
定員:15名程度
予約:定員に達したため終了
企画:松田修、トモトシ
食と備品:杉野晋平
運営協力:中矢奏美
※マスクの着用は各自の判断にお任せしております。会場内満員になる予定ですので、気になる方は道路に面した比較的空気の循環しやすい場所をご案内しますのでお伝えください。(会場は靴を脱いで入っていただきます。土足希望の方は上記と同様のエリアにご案内しますのでお伝えください)
※感染症対策のため、窓は開放した状態での開催予定です。送風機や空調等使って空気を循環させますが、各自暑さ対策のご協力をお願いします。 
※松田修、トモトシ、杉野晋平、中矢奏美でミュージアムスパイスカレー作る予定ですのでよかったら!あとはかき氷もあり(有料)。
※杉野晋平によるオリジナルドリンク(コーヒー、ハイボール)もあり!(有料)

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山川冬樹 YAMAKAWA Fuyuki
己の身体や声と社会や環境との関わりを探求しながら、美術、音楽、舞台芸術の境界を超えて活動。己の身体や声を駆使したサウンド・パフォーマンスを得意とし、これまでに16カ国で公演を行う。代表作に個とマスメディアをめぐる記憶を扱ったインスタレーション『The Voice-over』(2008年/東京都現代美術館蔵)や、「パ」という音節の所有権を一人のアートコレクターに100万円で販売することで成立するパフォーマンス、『「パ」日誌メント』(2011~現在)等がある。またハンセン病療養所(大島青松園)や、帰還困難区域(Don’t Follow The Wind展/グランギニョル未来のメンバーとして)での長期的プロジェクトにも取り組んでいる。
【主な作品・展覧会など】
2023 パフォーマンス《JAPAN. BODY_PERFORM_LIVE Resistance and Resilience in Japanese Contemporary Art》イタリア、PAC Padiglione d’Arte Contemporanea
2021 パフォーマンス《Found in Odawara》クリスチャン・マークレーとのコラボレーション神奈川県、江ノ浦測候所
2021 展覧会 《3.11とアーティスト 10年目の想像》グランギニョル未来のメンバーとして茨城県、水戸芸術館
2017 展覧会 《Japanorama 1970年以降の新しい日本のアート》フランス、ポンピドゥー・センター・メス
2017 展覧会 《ヒツクリコ ガツクリコ ことばの生まれる場所》群馬県、アーツ前橋
2015 横浜文化賞 文化・芸術奨励賞

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松田修 MATSUDA Osamu
1979年尼崎出身。二度の鑑別所収監を経て、東京芸術大学大学院美術研究科修了。映像、立体、絵画とジャンルを問わず様々な技法や素材を駆使し、社会に沈潜する多様な問題を浮上させる作品を制作。主な展覧会に「なんぼのもんじゃい」(個展, 無人島プロダクション, 2023 )、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館, 2023)「ANNUAL BRAKE 2022」(The 5th Floor, 2022) 、「こんなはずじゃない」(個展, 無人島プロダクション, 2020) 、「ダークアンデパンダン」(共同企画, 会場非公開, on website, 2020) 、「にんげんレストラン」(旧歌舞伎町振興組合ビル, 2018) 、「みんなほんとはわかってる」(個展, 無人島プロダクション, 2017) 、「何も深刻じゃない」(個展, Garter, 2015) など。著書に『公の時代』(卯城竜太 (Chim↑Pom) との共著, 朝日出版社, 2019)、『尼人』(イースト・プレス, 2023) がある。
http://osamumatsuda.com/

トモトシ tomotosi
大学卒業後、建築設計・都市計画に携わる。2014年より展覧会での発表を開始。「人の動きを変容させるアクション」をテーマに作品を制作している。2020年よりTOMO都市美術館を運営。主な展示に「Romantic Bomb」(TAV GALLERY、2022)、「有酸素ナンパ」(埼玉県立近代美術館、2019)、「tttv」(中央本線画廊、2018)がある。 主な受賞に「イメージフォーラム・フェスティバル2019」観客賞がある。

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山川さん、松田さん、参加された皆さん、ありがとうございました!
メタルの洗礼、スケボーとの出会い、そしてお父さんの影響、、。まずは山川さんが表現に目覚めるまでをお話しいただきました。少年時代、環境の変化が激しいなかで実践されていた表現が、現在の活動に直接つながっていて驚きでした。プロジェクトを多数紹介いただいた後、ワンネスの議論もできました。山川さんの表現は、環境やお客さんとの呼応によって成り立つため、一つとして同じものはない。その一回限り唯一無二の「ライブ」を積み重ねてこられたことこそが山川さんにワンネスを感じる要因だ、というのが一旦の結論でした、もちろんもっと他の要因もあると思うので、引き続き注視させていただきたいです…!トーク後には、内モンゴルから来られていた参加者との、突発ライブが始まってめちゃくちゃ盛り上がりました!山川さんには結局終電まで、多くの方とコミュニケーションをとっていただきました。お忙しいところありがとうございました!
最後に、スパイスカレーもとても評判が良くって晋平くんさすがとなりました。次はもっとうまいカレーにチャレンジしようと話してます!(トモトシ)

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TOMO都市美術館