フォトボマートモトシ/photobomber_tomotosi


忠犬ハチ公は、仕事先で急死した飼い主を数年待ち続けた。
真っすぐな忠誠心が共感を呼び、90年前に銅像が建てられた(現在の像は二代目)。
たぶん日本で一番有名な犬だと思う。



それどころか2008年のハリウッド映画「HACHI」の公開以来、日本だけでなく世界規模でファンを拡大したようだ。




渋谷のハチ公像の前では、この犬を一目見るために世界中からやってきた人たちの列がなかなか途切れない。


2019年の光景



ハチ公像と写真を撮って、SNSに投稿している人も多いようだ。




ある日、僕はハチ公の後ろで人を待っていた。
ここにいれば「いろんな人の写真に写り込むな~」と思いながら、撮影する人たちを眺めていた。
そして何の気なしにインスタで#hachikoと検索してみると、なんと僕が写り込んだ写真が投稿されていた!!

以下が記念すべき写り込み第1号。


左に見切れているのが僕。
目立つ赤い服を着ていたのでギリギリ確認できる。





以来、僕は超人気犬にあやかる気持ちで、彼のそばで待つことにした──ハチ公ファンたちのインスタの投稿に写り込むのを。

何の目的もなく(いやちゃんとあるのだが)待つのは2時間が限界ということがわかった。
とにかく心を無にして週5日、2ヵ月待ってみることにした。

家に帰った後、インスタグラムのハッシュタグ(#hachiko、#hachikostatue、#ハチ公 など)や位置情報から検索しては一喜一憂する日々が始まった。




以下がデモ映像だ。赤い服を着ているのが僕、トモトシである。





あくまで「結果的に写り込む」ことにこだわりたかった。
なので変に目立ったり誰かの邪魔はしないというルールでたたずむことにした。
かといってずっと同じ格好で映り込むのも面白くないので、移動と動きを加えながら待った。

結果から言うと、この方法でなかなかの成果を得られた。
インスタグラムで発見できた写り込み写真の頻度は、だいたい1時間半待って1つという計算だった。

以下は投稿をまとめたもの。





なかでもお気に入りの投稿を紹介したい。



https://www.instagram.com/p/BfNtTqglBkl/?utm_source=ig_web_copy_link
気の抜けきった顔でバッグの中身を物色している。
バッグと(本当の)被写体の方の服の色が合っているのもポイント。



かなりアクロバティックな一枚。
狙っては撮れない一枚。
これもいつ撮られたかはまったく謎。


https://www.instagram.com/p/Bhys5q0j__C/?utm_source=ig_web_copy_link
いつもと違った位置で映り込んでいた投稿。
合成感があって好きだ。



何か壮大な物語がありそうな写真。
なぜ僕が頭を抱えていたのかは今となっては覚えていない。


毎日通っていると常連の人と顔見知りになる。
これは常連のおじいさんにもらった新聞を読んでいるところ。
米朝問題についての記事を読んだ記憶がうっすらある。




雨の日は写真を撮る人の数も減るので貴重な一枚。
忠犬も傘をさしてもらって嬉しそう。



とても好きな一枚。構図的に美しく、服の色が合っている。
誰にカメラを向けられていたかはもちろん不明。



すべての写り込み投稿をリポストしたアカウントがこちら
113の映り込みは2ヵ月間に計180時間待った成果だ。


もちろんだけど、これらの写真の被写体は僕以外の誰かということになる。
見ず知らずのおっさんが写り込んでしまって申し訳ない気もするが、逆に言えば僕が勝手に写されたという言い方もできる(すみません)。

写り込みのことは英語でフォトボム/photobombと言うらしい。
赤い服を着て写り込みに行く自分のことを、フォトボマートモトシと呼んでみることにした。

いつ撮られたのかわからないから、僕はたいてい腑抜けた顔をしている。
撮影後のエフェクトも、投稿者好みのものだ。

でもこうやってまとまった数を見てみると、自分がコントロールできない状態で撮られた写真も魅力的だと思う。

最後に。
このふざけた企画が再開できるように、またハチ公前が観光客でいっぱいになる日を願っている。


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